- たい
- I
たい(助動)〔古語の助動詞「たし」の転。 中世以降の語〕動詞および助動詞「れる・られる」「せる・させる」の連用形に接続する。(1)話し手自身の希望を表す。
「おもしろい本が読み〈たい〉」「ぜひ私が行き〈たかっ〉た」
(2)話し手以外の人の希望を表す。「帰り〈たけれ〉ば帰ってもよい」「大学へ行き〈たく〉ても行けない人もいるのだ」
(3)「ある」「である」などに付いて, 他に対する願望を表す。 …てほしい。 …であってほしい。「常にこうあり〈たい〉ものだ」「交通事故のない町であり〈たい〉とみんな願っている」
〔(1)連用形「たく」が接続助詞「て」を伴って用いられる場合, 「たくって」のように, 促音「っ」が挿入されることがある。 「母に早く会い〈たくっ〉てしようがない」(2)連用形には音便の形「とう」もあり, 「ございます」「存じます」などに続く場合に用いられる。 「絵がかき〈とう〉ございます」「お礼にうかがい〈とう〉存じます」(3)他動性の動詞に付く場合, 希望の対象になる語は「が」または「を」で示される。 「水〈が〉飲み〈たい〉」「水〈を〉飲み〈たい〉」〕IIたい(接尾)〔形容詞型活用〕名詞, 動詞の連用形など体言に準ずるものに付いて, 形容詞を作る。(1)そのことのはなはだしい意を表す。 「めでたい」「うしろめたい」など。(2)そのような状態であることを表す。 「けぶたい」「つめたい」など。IIIたい(終助)文末にあって, 強意を表したり, 軽く言いはなす意を添える。 九州地方で用いられる。IV「それはあたりまえ~」「どのみち同じこと~」
たい【他意】(1)ほかの考え。 別の意味。 隠された意図。「~はない」
(2)裏切り心。 二心。V「~を抱く」
たい【体】※一※ (名)(1)からだ。 身体。「~が浮く」「~を開いてはたく」
(2)一定の内容と形式をそなえて現れるかたち。→ 体をなす(3)事物の本質。 実体。「名は~を表す」「論孟二書, 総て仁の用を説て, 一も~に及ぶ者なし/童子問」
(4)「体言」の略。(5)〔数〕 四則算法の可能な集合。 すなわち加法と乗法が定義されている集合について, 加法について可換群であり, 加法についての群の単位元以外の元は乗法に関して可換群であり, 加法・乗法の間に分配法則が成り立つならば, その集合を体という。※二※ (接尾)助数詞。 人の遺体や神仏などを数えるのに用いる。「身元不明の死体一~」「千~の仏像」
~もな・いしっかりしたところがない。 くだらない。 また, らちもない。「~・いことばかり言っている」
~を躱(カワ)・すからだの向きを変えて避ける。「~・してやり過ごす」
~をな・すまとまった形になる。 ていをなす。「論文の~・していない」「会議の~・さない」
~を引・くあとへさがる。 ちょっとしりぞく。VIたい【堆】(1)うずたかく積もること。 また, そのような形。「藁本が既に~を成してゐる/渋江抽斎(鴎外)」
(2)頂部が比較的平らな海底の高まり。 礁(シヨウ)より深く, 船の航行に支障がない。 良好な漁場になる。 バンク。VII「大和~」
たい【対】(1)二つの語の間に挟んで, 双方が相手の関係にあることを表す。「東軍~西軍」
(2)二つ以上の数の間の比や得点を表す。「三角形の三辺の比が三~四~五になる」「三~〇で勝つ」
(3)一組みをなすもので, 性質が反対のもの。 つい。「陰は陽の~だ」
(4)二つのものが優劣・上下などで同じくらいであること。 互角。「~の力量」「~に渡り合う」
(5)「対の屋」の略。「~に住み給はむには, いかでか, 上には昇り侍るべき/宇津保(国譲上)」
(6)名詞の上に付いて, 「…に対する」の意を表す。VIII「~戦車砲」「~米政策」
たい【態】(1)すがた。 かたち。 ようす。 てい。(2)(ア)〔voice〕文法で, 動詞の表す動作の動作主体・動作対象などの別を, 文中で主語・対象語(目的語)などのどの文の成分でとらえるかによって区別される文の種類(能動態・受動態・中間態など), およびそれを表現し分ける組織的な文法形式。 ボイス。 古い国文法では相と呼ばれることもある。 (イ)「相{(3)(ア)}」に同じ。IXたい【敦】中国古代の黍稷(シヨシヨク)を盛るのに用いた器。 蓋(フタ)をすると, 球形に近い形をしている。 春秋戦国時代の青銅製の礼器がよく知られる。Xたい【田井】田に引く水をためたところ。XIたい【田居】田。 たんぼ。XII「筑波嶺の裾廻(スソミ)の~に秋田刈る/万葉 1758」
たい【胎】母体の子の宿るところ。 子宮。~を結・ぶ受胎する。 みごもる。XIIIたい【袋】助数詞。 茶・薬など, 袋(フクロ)に入れたものを数えるのに用いる。XIV「セメント一~」
たい【隊】(1)戦うために組織された兵士の一まとまり。 戦闘集団の一単位。「航空~」
(2)共に行動するため組織された集団。XV「~を組む」「登山~」
たい【鯛】スズキ目タイ科の海魚の総称。 全長30~100センチメートル。 マダイ・キダイ・チダイ・クロダイなどの一一種がいる。 特にマダイをさすことが多い。 体は楕円形で強く側扁し, 体高が大きい。 体色は赤いものが多い。 姿が美しく, 美味な点から日本では魚類の王とされる。 また, 語呂が合うことから「めでたい」魚とされ, 祝い膳などに出される。 多くは本州中部以南の沿岸に分布。~の尾より鰯(イワシ)の頭(アタマ)大きい団体で低い地位に甘んじているよりも, 小さい団体でもその長となる方がよい。 鶏口(ケイコウ)となるも牛後(ギユウゴ)となるなかれ。
Japanese explanatory dictionaries. 2013.